キミの首輪に、赤い糸を。
「じゃあ、また明日ね、和咲!」


別れ道で、唯は大きく私に手を振った。


「うん、またね」


私も手を振り返し、唯が歩いていった道とは反対の道を歩いた。

この辺りは結構田舎で、周りは田んぼや畑。
のどかって言えばのどかだけど、つまらないと言えばつまらない。

今日の宿題、なんだっけ。
考えることもいつも通り。
まぁ、変わったことと言われて強いて言えば、恋とはなんだ、という女子高生らしくない疑問が残っていることくらい。

そんなつまらないことを考えていると、いつの間にかマンションに着いていた。

鍵を出して、ドアを開ける。

ただいま、という言葉は最近言っていない。
というのも、私は一人暮らしをしている。

理由は、近くにおばあちゃんが住んでいるから。
最近おじいちゃんが亡くなっておばあちゃんが一人になってしまったから。
両親は仕事の都合で都会の家を離れられないし、金銭的におばあちゃんにお世話になるのも悪いし、というのが理由。

たまにおばあちゃんの様子を見に行くのが、一応私の役目。


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