瞳の奥の真実
 少し下を向くと「ごめん」と言って離れてくれた。

 少し不安そうな顔をするので

「帰ろう?」

 と言ってニコッと笑ったら、水沢くんも笑ってくれた。



 帰り道、今日の練習の事や、学祭の話をたくさんした。

 やっぱりバンドの話をしている水沢くんが一番好きだ。

 キラキラしていてカッコイイ。

 家の近くにつくと、また水沢くんがちょっと寂しげな顔をするので、ほっぺにチュッとしてあげた。

 この水沢くんのうれしそうな顔が、かわいい。

「じゃあ、またね」

「うん」

 私は手を振って、くるっと振り向いて家に入った。



 
 そしてとうとう大学祭の日。

 美優ちゃんと待ち合わせていた。

「前川くんは?」
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