愛する子

「俺は結婚に賛成するよ」

反対のしようがないって笑う兄貴

「私も賛成するわ」

あきれたように言う姉貴

にこにこ笑う弟に優しく微笑む母さん

あとは父さんだけ

俺達は父さんを見る

ため息をひとつ

「...結婚しても会社は辞めなくていい」

そう言う父さんはいつのまにか笑っていて

「すまなかったね」

俺の隣にいるこの子に頭をさげた

「気にしないでください」

困ったように笑う

「あなたがうちの弟を愛しているのか、知りたかった。試すようなことをして悪かった」

試す必要なんてなかったのに、と頭をさげる兄貴

姉貴も弟も母さんもごめんなさいと頭をさげた

「いいえ、必要なことでした」

この子の言葉にみんな顔をあげる

「だからもう謝らないでください」

そうね、と母さんが微笑むと

この子も嬉しそうに笑った

「結婚式の準備をしよう、家は二人で住めるところを見つけよう」

「あ、でも子供ができたら広いほうがいいんじゃない??」

「そうね、広めの家がいいわね」

「私と一緒にドレス見に行きましょう」

「僕も行きたいーっ」

なんかもう結婚式と家の話をはじめた父さんたち

認めて貰えたんだよな...??

右手がぎゅっと握られる

俺はその小さな手を握りかえす

照れたように、嬉しそうに

そんなこの子の手をもう離さない


end
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