鬼社長のお気に入り!?
「こんな状況で世の中に勝つためには、人並み以上の知識が必要だと思って俺は死に物狂いで勉強して、奨学金でドイツの大学へ留学した。その時、そこで行われたデザインのイベントに桐生真人と再会したんだ。あいつはプロジェクトのデータのみならず、未発表の製品データも持ち去っていた。俺は事前に親父からデータを見せてもらってたから内容を知ってたんだ。その未発表のデータを、まるで自分のところで開発したもののようにイベントで自慢してたな」


「そんな……ひどい」


「けど、過去に潰れた会社のものだなんて誰も知る由もないだろ。それから俺は決心した……桐生電機をいつか潰すってな。桐生を堕とすためならなんだってデザインしてやるさ、そのために俺はここまでのし上がってきたんだ」


 八神さんが私に向き直って見つめてくる。その瞳の向こうに暗闇の中でひとりでもがき苦しんでいる八神さんの姿が見え隠れしているように思えた。
< 276 / 367 >

この作品をシェア

pagetop