鬼社長のお気に入り!?
※ ※ ※



 十二月二十五日はクリスマス。恋人たちが寄り添う聖なる夜。しかし、私と八神さんは果たして恋人……なのだろうか?


 いい雰囲気にもなるし、キスだってした。好きだと言われたけれど、状況が状況なだけに本当かどうかもわからない。勝手に恋人気分になって実は勘違いだなんて恥ずかしすぎる。けど、いまさら「私は八神さんの恋人なんですよね?」なんて聞けない。


 はぁぁ……十九時に新宿駅に来いって言われたけど、退院したばっかりだっていうのにいったいどこ行くつもりなんだろ――。


 もう少しで仕事は終わる。早く終わらせて待ち合わせ場所にいかなければ――。


「あれー? 杉野さん、まだいたの? 八神さん待ってるんじゃないの?」


「えっ!?」


「ぷっ、やぱっりビンゴか。カマかけのつもりだったんだけど」


 すると、先程までいなかったはずの加納さんがいつのまにかコーヒー片手に戻ってきた。


「まったく、八神さんも八神さんだよね、あの桐生が起こした傷害事件の被害者だって聞いた時はほんと肝を冷やしたよ」


「私も、生きた心地しませんでした……」


 あれから桐生電機はトップである桐生社長が退陣し、その息子である桐生大樹は捕まった。残された桐生電機の社員は大所帯なだけにいまさら会社を潰すわけにもいかず、社名を“エレクトロン株式会社”に改めまたゼロからスタートした。
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