1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

お隣さん


「お前、大宮に脅された?」

 不意にお隣からの声に思わずびっくりしてしまいました。見れば当然のように男の子。
 染めていない髪は少しだけ長くて、強気なつり目は睨まれたら怖そう。

 えっと、彼のお名前は…。

「かみや」

「え?」

「かみや、あきら」

 わざわざ名前を教えてくれました。

 神野秋空くん。
 そうだ、いつも1人でいるクールな男の子。
 だからと言って、クラスメイトから孤立しているわけでもない。不思議な男の子。


「お前、はれのだっけ?」

「…はるのです」

「へぇ、晴れ野って書いてはるのって読むのか」

 だからなんですか。確かにはれのって馬鹿にされたことは何回かありますが、お父さんの名字を悪く言わないでいただきたいですね。

「名前はよもぎだっけ」

「そうですが」

 なんでこんなに話しかけて来るんでしょうね。神野くんがよくわかりません。

 神野くんはフッと笑うと、お前変なのと言われました。いいえ、変なのはあなたですよ~。

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