1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

素性



 バタンッと大きな音が出るのも構わず開けたドア。
 センサーで反応した電気が光って玄関を照らす。

「た…ただいま…」

 やばい。運動不足です!駅から走って5分。
 さほど駅から遠くはない住宅街にある私の家。そこまで走るのに、こんなに息が上がってしまうとは…不覚!

「ねーねー、おそい!!」

「ねぇね~」

 かわいらしい声が2つ分、リビングの方から聞こえてくる。
 うぅ、やっぱり怒ってるよね?でも許して?お姉ちゃんだって好きで遅くなったわけじゃないんだよぅ。

 がちゃりと開いたリビングの扉。そこから飛び出して来たのは男の子と、女の子。
 男の子はドドドと効果音が付くような走りで、女の子はよちよちと私に向かって走ってくる。

 とっても愛らしいその姿に思わず表情は緩んじゃいます。

「ねーね!」

「え!?」

 走った勢いのまま飛びついてきた。
 マジですか!?いやいや、蓬。かわいい弟の1人や2人、受け止められなくてどうする!

 いざ!!


 ドンッ!ズテッ!!


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