ぶきっちょ幼なじみ


次の日の朝。昨日のイケメン騒動はクラスどころか学年へ行き渡っていた。


ガラッ
春菜「…はぁっはぁっ…ったく…なおくんの奴…朝から逃げるのに必死だったわ…!!」


楓「春菜ー!おはよー!昨日、噂のイケメン2人に絡まれてたって、噂やばいよ?」


春菜「…」

女子「あのっ、坂野さん!竹内くんと田中くんと友達なの…?もしかして、どっちかと付き合ってるとか…?」



くぅー!女子ならではの質問っっそんな恋愛ばっか考えてないで勉強しろっつの!


春菜「あー、ごめんね、びっくりしたよねぇ〜
実は、直人とは幼なじみなんだよね!そんでもって、田中くんは私も昨日会ったばっかり!直人の友達だとかで話しただけだから!もちろん付き合ってるとか無いから…」


尚也「春菜ちゃーん!よっす!!」


女子「田中くん…!」

尚也「ごめん、ちょっと春菜ちゃん借りてもいい?」

春菜「えっでもこれからホームルーム始まるんだけど…」


少女「あの、坂野さんと付き合ってたりします…?」


尚也「んー、、、どーだろうな!」


グイッ

春菜「えっ!?あっ、ちょっとお!?」


楓「先生には適当に言っておくねぇ〜!!」


春菜「かっ楓えええ!」




ー体育館ー

春菜「はぁっはぁっっ朝からどんだけ走らされるのよっっ」

尚也「わり!いやー、なんか直人の幼なじみって聞いたらなんとなーく直人より仲良くなりたい願望生まれた!」

そう言うと彼はなおくんのようにニカッと笑った。
その時私は一瞬、トキメキいたことを隠さずにはいられなく、下を向いた…


尚也「?どうかした?あっそういえば直人、春菜ちゃんのことはるちゃんって呼んでるんだな!ま、俺がちょっと茶化したら春菜って呼ぶ!とか言ってたけど(笑)」



あぁ、だから昨日呼び捨てで呼ぶように言われたのね…納得。


尚也「俺もはるちゃんって呼んでいい??なおくんってよんでよ!おれ尚也で、直人、ちょうど なお が被ってるからなんか面白いな」


春菜「はるちゃんって呼ぶのは構わないけど…私は田中くんでいいや。だって、なおくんは私にとって1人だもん。なんか変な感じになってややこしくなっちゃうよ。」


尚也「…そっか…じゃ、はるちゃん!せめて名字じゃなくて、尚也って呼んでよ〜!」


春菜「え、いや、そんな親しげに下の名前で呼ぶわけには…」


尚也「なぁんで!俺らもう友達だろ!」


春菜「…んー、田中くんは知らないかもしれないんだけど、実は田中くんと直人は周りの子からイケメンって騒がれてるんだよ?だから昨日私と話してるのも女の子たちに見られて…私がフォローするの大変なんだよね…」


尚也「…そっか」

春菜「なんかごめんね!女の子っていろいろ複雑でさ…しかもほら…まだ学校始まったばかりだしさ…」


尚也「…あのさ…」


キーンコーンカーンコーン……


尚也「…わり!チャイムなっちゃったな!授業始まっちゃうからまたな!」


タッタッタッ…


春菜「…なによ、連れ出しといて結局用事ってなんなの?…」






ガラッ

先生「こら、坂野、どうしたんだ?」


春菜「あっと…えー、お腹が痛くてトイレにいました…」


先生「古田はどこに行ったか知ってるか?」


春菜「えっ?知りませんけど…」

あれ?どこいったんだろ?


楓「ただ今戻りましたぁぁ!!」


春菜「楓ぇ、どこ行ってたの!?」


楓「いんやぁーまじで私が腹痛になっちゃって…」


春菜「もー、楓ってばー」

ー放課後ー

直人「春菜今日どっか寄ってくの?」


春菜「別に寄らないけど…ていうか中学の頃とか別に一緒に帰ったりしなかったし、高校もそれぞれ帰ればいいと思うんだけど…」


直人「…それもそうだな…いや、中学って家から近いけど、高校って遠いし友達もそんないないから何となく来ちゃうっていうか…まぁ、春菜が平気ならいいか」

春菜「うん…まぁ直人がどうしてもって言うなら別に考えてあげてもいいけどねぇ〜」


直人「ばっ…別にお前いなくてもいいし!俺には尚也がいるからな!」


尚也「よーす!はるちゃーん!」

直人(はるちゃん…?)


春菜「田中くん…」


直人「尚也、春菜といつからそんな仲良くなったんだ?」


尚也「んー?実は〜今日ホームルームいなかったのは〜はるちゃんとサボって話してたからなんだぜっな、はるちゃん!」


春菜「…うん、まぁ…」

直人「ふぅん…」


春菜「あ、私帰るね!2人はゆっくりして帰ってきな〜
ま、直人は帰ってこなくてもいいけどねぇ〜!田中くん、またね!」



尚也「…っ」



直人「…ったく、春菜のやつ、、、」


尚也「いいよなぁ、俺、お前と変わりたいわ…」


直人「どうした?急に」


尚也「なんかさぁ、自分でもよくわからないんだけど、俺、はるちゃんに凄く興味がある。
好きかはわからないけど…なんだろう…」


直人「おい、まじかよアイツはやめておけっ(笑)」


尚也「いや、もし、好きになったら色々お前に相談するな!まぁ、また明日な!」









ー夜ー


春菜「なんか、高校生活こんな振り回されるはずじゃなかったんだけどなぁ………」


コンコン


春菜「…ん?」

コンコンッ


春菜「部屋のドアではない…?あれ…まど?」


シャッ(カーテン開ける音)


春菜「…なおくん…」


直人「こーゆーとき、家が隣で部屋も隣って、いいよな!ニカッ」


春菜「…ちょ!なに上がってるの!」


直人「いーじゃん久々に春菜の部屋どんなもんか見に来た〜」


春菜「学校じゃないのに春菜なんて、なんか慣れないなぁ〜」

直人「…今回を期にずっと呼び捨てでよくね?紛らわしいし!お前も直人って呼べよ!」
ポンポンッ

春菜「…っっ」

その時、久々になおくんに触れられた手は大きく、暖かく、包まれるような安心感があった。

春菜「直人…ねぇ…慣れるかな…なんか違和感あるなぁ〜」

直人「‥‥そんでさぁ、今日尚也と何話してたの?」


春菜「え?いや、普通にはるちゃんって呼んでいい?とか、あとは学校で絡まないでってお願いしたり…あんたたち女子から人気で私が付き合ってるとか勘違いされるの嫌だからさ!」


直人「ほかは‥‥?」


春菜「んー、あと、最後に何か言いかけてたみたいだけど‥‥本鈴なっちゃったから聞けなかった!なんだったんだろうなぁ〜」



直人「…へぇー、そうなんだ!まぁ、うまくやれよ〜!おっ、これアルバムじゃん!久々に見ようかなー」


春菜「あぁ、それ小学校のやつじゃんっ懐かしいなぁ〜あ、この写真、あたしたち同じクラスの時じゃない!?」

直人「あー、そうそう!この時はよく茶化されたよなぁ〜お前ら将来結婚するー!‥‥‥‥‥‥‥‥って‥‥‥‥‥‥」

春菜「‥‥‥‥そんなこともあったね‥‥」


直人「‥‥‥‥」


春菜「‥‥‥‥」


直人「俺らって、いつからこんなんなっちゃったのかな。」



ー直人『嫌い。』ー

春菜「な‥‥によ‥‥」


直人「え?」


春菜「っ‥‥私があの時、どれだけ泣いたかわかってないでしょ‥‥?」


直人「‥‥あの時?」

春菜「あぁ、もう忘れだんだね、まぁそうだよね、中学のときの話だもんねっ
‥‥ごめん、もう今日は帰ってくれる‥‥?」


直人「‥‥‥‥はる」

春菜「かえって‥‥!」

直人「‥‥おやすみ。」



ガラッ…パタン…



春菜「…っ…」

そう、中学のころ、突然嫌いと言われ、
その後知らない間に何人もの彼女を作っていた直人。
私がどれだけ傷ついていたか知らないんだ。

忘れているんだ。

私だけ勝手に思い残して、馬鹿みたい。


なのに久しぶりに会って、ドキドキしている私って、おかしい‥‥?


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