未来の1/fragment
END EP:016 決断の時




『坂尻に会えてよかったよ』



別れ際に耳元へ囁かれた言葉が胸に突き刺さった。



バス停前でぼーっと立ち尽くしていると、自分が乗るバスがやって来る。


ふと横を振り向き、誰もいない道をじっと見てしまう。


追って来るはずもない人を待ってもしょうがないのに…



バスに乗り込み、2人がけの窓側の席へ座った。


丸林に対してもっと自分ができることがあったのではないか?


自分をどうしても責めてしまう。


彼の未来はどちらを選んでも茨の道かもしれない。


窓に頭をつけて、モヤモヤする気持ちが渦巻きながらもバスは進んで行った。


夏海が乗ったバスの後ろ姿を、道の脇から丸林が見送っていた。


彼は今から家に戻る。その前に一度深めに深呼吸をした。


よしと覚悟を決めて、バスに背を向け自宅へ向かった。




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