未来の1/fragment






「素直に受け取れば示談成立だったのに、そこで反論するなんて、相変わらずキツイ女だよな…」



丸林は床に置いていたリュックを右肩に掛けて教室を出た。


廊下を歩き、下駄箱前でスニーカーに履き替える夏海を見つけた。


でも声を掛けることが出来ず、ただ夏海の後ろ姿を遠目で見ていた。



✳︎ ✳︎ ✳︎



学校から帰宅した丸林は、真っ白で大きな自宅を下から見上げ、溜息を一度ついた。気持ちを切り替えてから玄関を開け、リビングに立ち寄った。



「あら、お帰りなさい」


「ただいま」



キッチンで声を掛けたのは、母親ではなく家政婦さんだ。




「今日の晩御飯は何が食べたいですか?」



笑顔で語りかける家政婦さんに対して、丸林は素直に答えた。







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