大野さん 初めてのチュウ
「濡れるぞ。」
「うん。もう帰る。おやすみ。」
 これ以上一緒にいたら、叫びだしてしまいそうなくらい、私は興奮していた。ドキドキが治まらなくて、私は彼から離れた。すごく名残惜しいけど、これ以上ここにいたら、心臓が爆発してしまう。

「おやすみ。」
 神井くんの声に、言葉に、心臓が高鳴って、倒れてしまいそうだった。私はきびすを返して家に逃げ帰った。どうしてこんなにドキドキするんだろう。嬉しいのに、怖くて、何よりとても恥ずかしい。でも、何が恥ずかしいのかよくわからない。

 門の前で振り返ると、彼が手を振ってくれた。また心臓が跳ねる。手を振る事も忘れて家の中に逃げ込んだ。

 玄関のドアを閉めたら、もう立っていられなかった。暗い玄関に座り込んでいると、家の奥で「おかえり」とお母さんの声がした。顔を合わせたくなくて、あわてて自室へ逃げ込んだ。頬が燃えてるみたいに熱い。

 私は今日、初めてキスをした。。神井くんとキスをした。きっと一生忘れない。

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