追憶の彼方に

✩✩紗良サイド



紗良‥‥

あの‥‥波瑠に抱かれた日から
初めて、まともに話した。

私と勝の情事を見ても、
平然とした顔で、
コーヒーを入れている波瑠に
私への気持ちは、
何もないんだと、
改めて思い知った。

勝との事を、
前から知っていた‥‥
陽向からも聞いていた‥‥‥

いつか、もしかしたら、私に振り向いて
くれるかもと、思っていたが‥‥‥

まったく、相手にもされて
いなかったんだなんて
惨めを通り越して笑える。


勝にも、嫌な事を言ってしまい
後で謝った。

勝とも、あの日、きちんとお別れした。


ダラダラとした付き合いは、
嫌だったから。


両親にも、今までの全てを話して
離婚の報告をした。


お母さんは、泣いていたが
お父さんは、
「戻って来るか?」
と、言ってくれたが、
陽向が保育園にも慣れているし、
ここに住み慣れているから
このまま住む事を伝えた。

まあ、家具も私の好きなもので
統一してあるし
私自身が、とても気にいってるから。


ただ、波瑠が使っていた部屋の
荷物は全て廃棄した。

波瑠がいた部屋には、
布団と小さい机があっただけ。
着替類は畳まれて部屋の済に。
長く一緒にいるつもりは、
なかった事が伺える。
こんな所に波瑠はいたんだ。
と、切なくなった。

私は、仕事も探して働いている。

なんだか、結婚しているときより
イキイキとしていている

陽向と、二人で
頑張って、生きて行こう。
< 44 / 71 >

この作品をシェア

pagetop