追憶の彼方に

✩✩愛はない


入籍して、夫婦になったのに
波瑠は、私を二度と
抱こうとはしなかった。

妊婦の私を気に止めることもなく
ただ、自分の事は、自分でして
私に負担がないようにしてくれたが
夫婦としては寂しかった。

お産前後は、実家に帰って
お母さんに甘えた。

波瑠は、
私の実家にも殆ど来る事はなかったから
両親は、心配したが、
「就活して仕事してもらわないと
いけないでしょ。」
と、言って誤魔化した。
波瑠は、大学費用は
波瑠のご両親が終わらせていたから
奨学金とバイトをして
生活費に当ててくれた。

子供は女の子で、陽向(ひなた)
と、私が名付けた。

波瑠は、大学を卒業して
成績も良かったため、
大手の建設会社の
営業部に入社した。

私は、育児と家事と頑張った。

少しでも、波瑠に認めてほしくて
結婚さえできれば、
波瑠も私を好きになり
愛してくれて、幸せになれる。
と、思っていたが‥‥‥‥‥

波瑠は、陽向の事は可愛いがるが
私に対して、話をすることも
触れる事もなく
愛情なんて一切なかった。

そんな私は、
段々と精神的に追い詰められて行き
波瑠に詰めより、
「どうして、
私と話しをしないの?
どうして、
私を愛してくれないの?
私達は、夫婦でしょ!!」
と、泣き叫ぶと

波瑠は、
「俺は、責任を取るとは言った。
でも、愛するとは言ってない。
お前が、俺を嵌めたことは
知っている。

陽向は、可愛いが
俺が、お前を愛す事はない。
俺は、両親も最愛の人もお前に
奪われたんだから。」
と、言われた。


私は、ショックと悲しみで
泣き続けた。
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