彼女にもう一度

*ココ

ドサッ!!



僕が落ちていった先は、何の変哲もない普通の道ばただった。

「いってー……」



腰をさすりながら僕は、これは夢だと言い聞かせる。

その証拠にほら、
突然落ちてきた僕に目を向ける通行人は、誰一人いなかった。



――夢なら夢で、現状把握くらいしておかなきゃな。


僕はいたって冷静だった。


「あの、すいません、ここはどこですか」


僕は優しそうな女の人に声をかける。


「……」


だが、女の人は無言でその場を去っていった。


「無視かよ……」


少し不愉快な気分になったが、そのときは特に気にもしなかった。


だが、声かける人全て、僕のことを無視していくことに気付くのには、時間はそれほどかからなかった。

彼らは目線すら合わせようとしない。


「僕が見えないということか」


嫌な設定の夢だな、と、まだ僕はそれが夢のつもりでいた。
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