特ダネには真実を
先輩、事件です
「は~や~な~し~!!!あんた、また強引な取材して!今回は事なきを得たけど、出禁になったらどーしてくれんの!」



陽明日(ヒアス)新聞社、社会部。



部屋いっぱいに怒号を響かせているのは、デスクである啄梔(ツイバシ)。


45歳にしてついに更年期か?と噂が回るほど、最近イライラしている。



「だぁって~!真実を追い求め無くちゃ、真の記者とは言えないじゃないですか!」



当事者である囃噺(ハヤナシ)は、耳に手を当てて聞こえないふりをしながら、悪態をつくという35歳らしからぬ言動。


粘り強い取材を得意とし、信念にもしている。

というと聞こえは良いが、結局のところ関係各所への強引な取材でクレームが絶えない。



啄梔のイライラが増えてきているのも、これが関係しているといえば嘘ではない。



陽明日新聞社は、経営が悪化し経営権を実業家として名高い埜尻(ノジリ)に売り渡した。


その埜尻の方針として、真実より読者受けを何よりの最重要事項になったのが、囃噺にとっては不満だったらしい。


経営権が代わる前より、強引さが増している。
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