binoculars * glasses

疾風

続く道をひたすら歩く
熱すぎる太陽が
地面を照らす
もう 何も感じたくない


木立の下 緑の波に腰を下ろして
深すぎる傷から
上がる血飛沫
もう 守られるのは嫌なんだ


木立の上 枝の隙間
零れる天と
葉を透かす 灼熱の日向
滲んで揺れて
幾つも幾つも 頬から雫
もう かれたはずなのに


煤けた裾を 風が通った
囁く音を少し残して
連れ去って
どうか此処から


なぶられた向日葵の花
煌々ときらめく夜色の羽根
連れてって
私も底へ


右手の先で
一際大きな囁く音が
景色が変わる
宙は真白の空の底


憧れてたんだ
風の音に。


ありがとう
サラってくれて。



**********************・零れる(こぼれる)
・煤けた(すすけた)
・煌々(きらきら)
・滲んで(にじんで)
**********************
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