bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-


「唯野主任とは、どうなの?」

私は驚いてエリカ先輩の方を振り返ると、ハーフアップの髪型を整えていたエリカ先輩と鏡越しに目が合ってしまう。




「ふーん。やっぱり、安藤さんが付き合ってるんだぁ」



驚きで何も答えることが出来ない私を、エリカ先輩はなんだか勝ち誇ったような笑顔で見ている。



「唯野主任のこと、どこが好き?」




何で知っているんだろう。


何でこんなに見透かされているようなんだろう。

 


「優しくて、それに穏やかで…」



別に答えなくてもいいものなのに、私はなんだか自信たっぷりのエリカ先輩の態度が気に入らなくて、つい対抗して答えてしまう。

 

「唯野主任格好いいもんね。…でも、安藤さんって唯野主任のこと好きなの?」


「はっ?」

先輩ってことも忘れて怒りを含んだ態度を見せてしまったものだから、エリカ先輩は苦笑いしながら肩をすくめる。


「ごめん、ごめん。ただ、ただの憧れなんじゃないかなって思っただけ。好きと憧れは違うっていうじゃない?」


私が何も答えられずにいるのを横目に、エリカ先輩はそそくさとメイクを直して、私の横を通り過ぎる。



「まぁ、お幸せに。」



エリカ先輩は、やっぱり勝ち誇ったように言い残して、化粧室を出て行く。


残された私は、言い捨てられたその言葉に怒りを覚えてしまった。

 

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