僕を愛した罪








あたしの返答に、セイくんはこの上なく意地悪く笑った。

きっと漫画なら、ニヤーッて効果音がはいっていたと思えるほど。

…こんな表情(かお)、するんだ……。







「んじゃ、貰っちゃうね?」






答える隙もなく、再び唇を落としてくる彼。

少し大人なキスだけど、優しくて甘い。

…あたしの過去を知っているからかな。

あたしが怖がらないよう、優しくしてくれているのかな。




普段毒舌なセイくんからは信じられないけど。

この甘い優しさは、そう考えても可笑しくない。





キス以上、いくのかな?

あたし、初めてだけど、平気かな?

変な声とか出ちゃわないかな?





そんなことを考えていると。

セイくんが離れて、あたしの手を引っ張って立たせた。




「ん?」と思ってセイくんを見ると。

セイくんはさっきの意地悪な笑顔が嘘みたいに、いつもの無表情に戻っていた。







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