僕を愛した罪








セイくんは昨日、あたしの家に来てからというものの、
何だか態度が優しくなった気がする。

あたしの過去を、ママが話したからかな?

同情…なのかもしれないけど、それでも嬉しかった。





「セイくん、好きー」


「…どうかしましたか?」


「ううん。
ただなんとなく、言いたくなっただけ」





あの日屋上で一目惚れしたあたしは、間違いじゃなかった。

今のあたしは、間違いなく幸せ。

中学生の頃、政志と付き合っていた、あの時よりも。




あの時はあたしも悪かった。

あたしは初めてされた告白に、舞い上がっちゃったんだ。

嬉しくって。…だけど、ドキドキは感じなかった。

政志のことを、上手く好きになれていなかった。

そんなあたしの微妙で不安定な気持ちが、
きっと政志を不安にさせてしまった。

政志が一方的に悪いんじゃなかったんだ。

政志を不安にさせ、暴力と言う行動に走らせてしまったあたしも悪かったの。





でも今は、気持ちは微妙でも不安定でもない。

あたしは素直に、セイくんが好きだ。

どんなに言われても、好きだって思えるんだ。





…あたしってM、なのかな?







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