終わっちゃった。
プロローグ
“地球に関してのものを10個10回ずつ言ったら、地球が終わるよ。”

彼は言った。
口角を上げ笑んだ表情で、楽しそうに、彼は言った。

そんな馬鹿な。
あたしはそんな言葉信じない。いや、あたしどころかあたし以外の誰もが信じるわけないだろう。
そんな簡単に地球が終わってしまうのだったら、世界征服だってチョチョイノチョイってヤツだ。馬鹿じゃないの。


でも。


“空、空、空、空、空、空、空、空、空、空、…土、土、土…”

そう彼奴の唇から零れてくる単語を、あたしは掬い上げようかどうしようか心の中で葛藤していた。
このまま、もしも最後まで言い終わってしまったら。…地球は、終わるのか?


彼は実に愉快そうに、時折笑い声を発して言葉を続けていた。
あたしはというと、その横で、あたしの心の中の葛藤をあたし一人だけで繰り広げていた。


どうして止められなかったのだろう。




あたしのせいで、世界が終わってしまうかもしれないのに。
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