結婚したいシンドローム=特効薬は…あなた?【完】
「そう言えば、彼が異動の電話を受けた時、珍しく本社の人と日本語で喋ってたんです。その時、私はコーヒー入れてたうからハッキリ聞き取れなかったんですけど、変な事言ってました」
楓ちゃんの彼と一輝が関わっている問題は同じかもしれないって感じてた私は、手に持っていたメニューを投げ捨て身を乗り出す。
「変な事って、なんて言ったの?」
「監視するとか、黒幕とか……なんか、物騒な事言ってました」
「監視って、誰を監視するの?」
鼻息荒く聞いたけど、楓ちゃんは「それは、分かりません」と眉を下げる。
一輝はすぐに解決するみたいな口ぶりだったから、それ程深刻な問題じゃないと思っていたけど、本社も絡んでいるとなると結構大変な問題なのかもしれない。
その問題が長引けば、私達の結婚も先延ばしって事だよね……
ガックリ肩を落とす私の顔を覗き込み、楓ちゃんが不思議そうに首を傾げる。
「蛍子先輩、何か気になる事でもあるんですか?」
「あ、うぅん、何もないよ。でもまぁ、取り合えず彼が帰って来るんだから良かったじゃない。で、彼はいつからこっちに出社するの?」
「向こうで業務整理して、10日後、こっちに出社するみたいです」
楓ちゃんの彼は元々、名古屋支社の生保でファイナンシャルプランナーをしていて本社に異動したから、まだ会った事はない。
「楓ちゃんの彼に会えるの楽しみにしてるよ」
何気なくそう言ったら、楓ちゃんから予想外の言葉が返ってきた。
「それで、蛍子先輩の方はどうなってるんですか?遠藤係長との結婚式の日取り、決まったんですか?」