結婚したいシンドローム=特効薬は…あなた?【完】
結局私達って、ふたりで居ると喧嘩になっちゃうよね。
「せっかくあのフレンチレストランで飯食ってから空港に行こうと思ったのに、そんな時間なくった」
「えぇ~じゃあ、ご飯は?私、朝から何も食べてないんだけどー」
「俺だって同じだ!」
それが私達らしいのかもしれない。でも、そのせいで私達は2度も別れてしまった。
「あ、そういや、普段はめったに夢なんか見ないのに、懐かしい夢見たよ」
「どんな夢?」
「蛍の夢」
だから、考えてみたの。どうして私達は別れてしまったんだろうって。でね、その理由がやっと分かったよ。
「えっ?私の夢?」
「違う。お前じゃない。俺が子供の頃に戻ってひとりで蛍の光を眺めてた。……もしかしたら、あの光は俺の親父とお袋だったのかもしれないな。でも、光は3つあったんだ……」
それは、信じる事を忘れていたから。何があっても一輝を信じるって強い気持ちが私には足りなかった。
「同じ様な夢私も見た。じゃあ、もうひとつは、私の母さんかも?」
これからは、どんな事があっても一輝を信じる。
「あぁ、俺たちの結婚を祝福してくれてたのかもしれないな」
そう言って微笑んだ一輝が右手を差し出し、私はその手を強く握り締めた。
「走るぞ!」
「うん」
もう絶対にこの手を離さない。だって彼は、この世で一番大切な愛する旦那様なんだから……
一輝が用意してくれた極上のサプライズ。それは、結婚したいシンドロームを完治させてくれた最高の特効薬だった。
「おい、それで走ってるつもりか?飛行機に遅れたら半殺しだぞ!」
「はぁ?半殺し?やれるもんならやってみ?」
それでもやっぱり、相変わらず喧嘩ばっかだけどね……
❁❁❁ END ❁❁❁