あなたが教えてくれたから~約束~
翌日、お母さんと一緒に医師の診察を受けた。
「うん、いいね。潰瘍の方はもう大丈夫だし、身体の方の状態もいいですよ」
「はい」
「今月末…そうですね、8月29日あたりに退院ということでどうですか?」
「退院……」
お母さんが「よかったね」とわたしの背中を叩いた。
わたしは、死刑判決を受けたような気持ちだった。
死刑執行は10日後。
もう吉原さんに会えなくなる。
なにをうろたえているの。
わかっていたことじゃない。
所詮、わたしと吉原さんは期間限定の出会い。