あなたが教えてくれたから~約束~
気がつくといつも彼を探している。
彼が出勤している日と出勤していない日では、喜びが天と地ほど違う。
彼のいない日は寂しくて、寂しくて。
桃佳が、わたしを見て吉原さんが出勤しているかそうでないかを見分けられるようになっていた。
「まあまあ、吉原さんのことばっか考えてないで、わたしとあそぼーよ」
今日は桃佳とジェンガをやっていた。
「汐里ちゃんちはお父さんいるんでしょ?見ないけど」
「いるよ。あのくそおやじ、いつも仕事で家にいないけど」
「うちはいないんだー。わたしが小さい頃に病気で死んじゃったの」
「そうなんだ」
「お母さんは、わたしの入院費とか稼ぐために毎日毎日働いてる」
だからたまにしか面会に来ないのか…。大変だな。