how to love
出逢い
SHRが終わり、帰る時間となった。
校門から出た時、携帯を探すと教室に忘れたことに気づく。
急いで教室に戻ると人がいた。
名前わかんないや。
気にせず、自分の机とロッカーを探り始めた。
「なに探してるの?」
『携帯』
「もしかして、これ?」
私の携帯を持っていた男の子の元へ駆け寄る。
「はい、どうぞ」
微笑んでそういう男の子から携帯を受け取った。
『ありがとう』
「ありがとう?」
私が頷くと男の子は喜んだ表情を見せた。
『名前なんていうの?』
「ん?」
手話じゃ通じなかったので、黒板にそう書いた。
「栗原唯翔。耳は聞こえるの?」
『一応聞こえるけど聞き取りにくいかな』
私が黒板にそう書くと唯翔くんも黒板に書き始めた。
『学校慣れた?』
『んー、まだかな』
『体育のときのバスケすごかった!』
『そんなことないよ』
『部活は?』
『前の学校ではダンスやってた』
『すげー!かっこいい!!』
そんな話をしばらくしていたら放送が入った。
「下校の時刻になりました。生徒のみなさんは速やかに下校してください」
「あー、帰んなきゃね。行こっか」
黒板に書いた文字を消し、2人で教室を出た。
「流莉亜ちゃん道どっち?」
私が右を指すと
「一緒だ」
唯翔くんは自転車があるのに自転車に乗らない。
自転車をとんとんと叩いて
『乗らないの?』
「流莉亜ちゃんおいて行けないでしょ」
私の手話がすんなり通じたみたいで唯翔くんは正面を見つめたままそう言った。
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