【続】Am I What Colors?ー現姫の戦いー




変態男が言い終わると同時に、腹部に激しい衝撃と痛みを感じた。



「ッ……!!?」



後ろに吹き飛ばされる体。



「ッあ゙…!!」



壁に叩きつけられ、あまりの痛みに体をくの字に曲げて咳き込んだ。


何が起こったの……!?



「そんなもんかよ、睡嵐姫」



淡々とした、変態男の声。


まさか……私、殴られたの?


あの一瞬で…?


何とか顔だけを上げて変態男を見上げると、さっき私が立っていた場所で拳を突き出した格好で立っていた。



そんな……

あの一瞬で、どうやって……!?


私が驚きを隠せずにいると、変態男は髪の毛をかきあげながら笑う。



「お前さ、油断しすぎ。そんなんだとすぐ死ぬぞ?」



そして急に真顔になり……私を睨んだ。



「…お前の本気を見せろ」


「ッ……」



心の奥底まで見透かされるような鋭い瞳に、声が出なくなる。


確かに…この男は、危険だ。


下手なヤクザみたいに適当にやって勝てる相手じゃない。



本気でやらないと……死ぬ。



ちらりと横を見ると、目に入るのは蓮央たち。


5人で沢口啓明1人を相手にしているのに、その力は互角。


つまり、沢口啓明は5人分の力があるということだ。


……大丈夫、かな…。


でも、私も人の心配をしている場合じゃない。


この変態野郎をぶっ潰さないと。



さっきの、蓮央に言われた言葉を思い出す。



『…この戦いが終わったら、会わせたい奴がいる。……1年前、俺らと戦ったアイツだ』



1年前に私たちと戦った相手。


それは、翠斗。


桜蘭の元総長であり……私が最高に恨んでいる男。


蓮央が、そいつに私を会わせたいなんて。


何かあるのかと、気になってしまう。



……だから、変態野郎ごときに負けるわけにはいかないよ。



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