ベビーフェイスと甘い嘘

どれだけ無防備かって、ちょっとは思い知って


「ねー、パパびっくりするかなー?」

「びっくりするよー。翔、いっぱい頑張ったもんね」

親子で折り紙と格闘すること、1時間半。賑やかに飾り付けられた笹を見つめながら、二人でふふっと笑い合った。

「後は短冊だね。翔、自分でお願い事書いてみる?」

うん!と張り切ってぎゅっと鉛筆を握りしめる小さい手がとても可愛い。まだひらがなは全部は書けないけど、練習中の彼は書きたくて書きたくて仕方がないのだ。

「お手本書いてあげるから、お願い事教えてね」

「『あいちゃんとけっこんする』ってかく!」

無邪気なお願いに思わず笑みを浮かべてしまう。

「お願いをする時はね、『する』じゃなくて、『できますように』って書くんだよ」

さらさらと紙に書いて、ほら、ゆっくり書いてごらんと言いながら渡す。

「あとねー、もうひとつおねがいしてもいい?」

「いいよ。何をお願いするの?」

「『かけるのおうちに、あかちゃんがいますように』ってかきたい」

「それも……『できますように』かな」

いとこの亜依のことが大好きな翔は、芽依に赤ちゃんがいることも羨ましいと思っているのだろうか。

もしかしたら、亜依からいつも赤ちゃんのことを聞かされているのかもしれない。
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