ベビーフェイスと甘い嘘

「好きだよ」なんて、言わないから


***

「……で?新しい生活には慣れたの?」


「新しい生活って言うか……」


芽依の家から相澤オーナーの所有するマンションに移り住んで、もうすぐ一ヶ月が経つ。


元々単身者用に貸し出していた物件だったらしく、家具や家電も一通り揃っていて新しく用意する物も何も無く、生活する分には困らなかった。


「修吾さんから連絡はあったの?」


「うん」


何も連絡が来ないので、『一回話し合いましょう』とメールを送信したけど、それにも暫く何も返信が無かった。


『絶対に別れない』とたった一言だけのメールが届いたのは、つい一昨日のことだ。



お互いに愛も情も無くて、夫婦として家族としてだってもう過ごしていけないと修吾だって分かっているはずなのに……



もう修吾が何を考えているのか、どうしたいのか私には分からない。



平日の日中、修吾が会社に行っている時間を狙って当面の生活に必要なものを取りに行った。


万が一修吾がいて二人きりにならないようにと、この時はオーナーが車を出してくれた。
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