抱き寄せて、キスをして《短編》
第六章

気付いた気持ち

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連日私は、死に物狂いで仕事に打ち込んだ。

ほかに、新太との事を忘れる術がなかった。

「アンナ先輩、私が代わりにやっときますから、今日はもう帰ってください」

「大丈夫だよ。ありがと」

私と加奈ちゃんの会話の最中に、三崎課長が口を挟んだ。

「寺田の言う通りだ。白石、お前はもう帰れ」

「でも」

たたみかけるように三崎課長が続けた。

「今お前が倒れたら、企画部全員に迷惑がかかるんだ。いいから、帰れ」

「はい……」

本当は帰りたくなかった。

帰っても、食べたくないし眠れない。
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