秋麗パラドックス
もう一度、自分の心に問いかける





私の気持ちも知らないで、今更現れて。
何がしたいのか分からない。
分かりたくもないけれど。


徹も、萩原さんも、小春も。

みんなみんな、身勝手すぎるのよ。
私は苛立ちを隠せなかった。


笑い事じゃ済まされない。
『私は別の人と結婚するから』なんて、罪滅ぼしのつもりなのだろうか。

そんなの、素直に喜べるわけない。


また、同じような状況になってしまったらどうしてくれるの?
また私は捨てられなきゃいけないの?

そんなの、まっぴらご免よ。


それに、“彼”は私が出て言ったからって、追いかけて来てはくれない。
これが、どういうことかを表していると思った。

それっぽっちの気持ちだったんじゃない。
動揺して、少しでも揺らいでしまった自分がバカみたい。

私は自分で自分を罵った。


もう、何年前の話なの。

イケメンで、医者で、女の子が憧れるものをすべて兼ね備えている彼が、女に困っているわけがない。

私にこだわらなくたって、望めば我こそはと言う人なんてたくさんいることだろう。
私じゃなくてもいいんだよ。





< 34 / 47 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop