何度だって咲かせよう(仮)
冬桜

『ねえ、めいちゃん。僕はずっと、めいちゃんのことをまもってあげるからね』

『うん!めい、…くんのことだーーいすき!』



ーー
ーーー

(またこの夢……)

藤田芽依子は、落ち葉の落ちる季節になると必ずこの夢を見る。何かを忘れているような、そしてその何かを思い出させるような、そんな夢。

普段は特になんともないのに、今日は頭痛がひどかった。



仕方ないから頭痛薬を飲み、学校へ向かう。母に心配されたが、熱はないし大丈夫、と無理に出てきた。学校へ行って友達と話せば気も紛れ、結局忘れているだろう。



少しぼーっとしながら歩き慣れた道を行く。特に危ない道もない。

いつも通り、横断歩道を渡ろうとしたその時、突然後ろから誰かに腕を引かれた。

(え、何?!?!)

突然のことに驚いていると、すぐに信号無視の車が横断歩道に進入してきた。あのまま渡っていれば、完全に事故に遭っていた。スピードも出ていて、もし巻き込まれていれば骨折なんかで済むようなものではなさそうだった。

(しっかり確認したはずなのに…)

スピード違反の車は止まることもなく、そのまま立ち去った。危うくひき逃げされかけた芽依子は、とても動揺していた。


「よかった…きみ、大丈夫だった?」


その声にハッとし、振り向くと同じ制服を身につけた男の子がいた。

「は、はい…ありがとう、ございます」

彼のことを見た瞬間、事故が起きたかもしれない動悸ではなく、違う意味で心拍数が上がった。切れ長の瞳に薄い唇、鼻筋も通っていてその辺の芸能人より美形なその人から、なぜだか目が離せなかった。


「芽依子…?」
彼はボソッとそう呟き、驚きの表情をしていたが、芽依子はそれに気付かなかった。

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