何度だって咲かせよう(仮)
花曇り



「芽依子は桜田くんに何あげるの?」

「へ?」

「バレンタイン!もちろん、あげるんだよね?」

二人でお昼を過ごしていると、京香に聞かれた。

「ま、まあ…あげるけど」

「手作り?!」

「うん。友達にもあげるから、買うと結構お金かかっちゃうし」

「お願いなんだけど〜」

「「一緒に作ってもいい?」」

「去年もそうだったじゃん。それに京香、そういうのまるっきりダメだもんね」

そう、京香は料理が全くできないのだ。中学からの付き合いである芽依子はそれを分かっていて、去年も司に手作りお菓子を作りたいと京香に頼まれ一緒に作ったのだった。

「えへへ〜、てことで明日よろしく!」

「そうだと思って準備済みだよ」

「さすが芽依子!分かってる〜!」

「はいはい。私はブラウニー作るけど、一緒でもいい?」

「うん!一緒にやってくれるだけで助かるよ!ありがとう」

うれしそうに笑う京香を見て、芽依子もうれしく思えた。京香が渡したチョコレートで司との距離が縮まったのは確かだ。

中学時代、同じ塾に通っていた司と京香は結局同じ学校に進学して、夏休みに付き合い始めた。京香は「義理だけど!」と押しつけるように渡したらしいが、凝ったラッピングも施され見るからに本命だと伝わってきて意識するようになった、と後で司から聞いた。

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