微笑んだ先に咲く花






「なぁ、気になってたんだけどさ」



二人で笑いあった後、突然真剣な顔になった





「そのペンダント何?」


有さんの視線は私の首にかけられたペンダントに向いている



「これは…秘密です!」


「はぁ!?言えよ!」


「嫌ですよ」


「…ちょっとだけでいいから」


「これは…ある人が私を迎えに来てくれる予定なので、道標ですね。



その人との約束なんですよ。このペンダントを持ってたら、絶対に迎えに来てくれるっていう。


それが本当かも分からないんですけど、縋りたいんですよね。いつか来てくれるって。」



「そうなんだ…誰?」


「従兄弟ですよ。あの時、たった1人だけ私を離さないって言ってくれたんです」



「そっか。来てくれるよ、絶対」


「…空は、優子さんがいいんでしょうか」




仁よりも早く私を迎えに来てくれた空

空が私がいることで優子さんとの関係が壊れそうなら私が身を引く




「1人は慣れてますから。思い出が増えない内に戻りたい」



「突然…何言い出すんだよ」


有さんの言う通りだ
突然何言ってんだろ…私




「ははっ…すみません、今の忘れてください!もう眠たいので布団敷いてください」



きっと無理矢理話題を変えたことに気づいてる。でも、すごく心が痛い



今も空は優子さんの夢を見ているのかと思うと黒いモノが心を覆う



空は私を通して誰を見ているのかな











ベッドの下に布団を敷いてもらって私はお礼だけ言って布団に潜った



それを察してか、有さんも何も言わなかった


ただ1つ


「本気で悩んで、逃げたくなったら俺の所に来い。誰にも見つけられない場所に連れてってやる」


そう言われた


泣きそうになる。有さんは私に逃げ道もあると伝えてくれたんだ


何故かすごく安心して、心が晴れた気がした





















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