君の背に顔を上げてo
思い出

1の歌


ちょうど私の高さまでの灰色の四角い塔が、たくさん、きちんとならんでいます。


真由の持っていた白い菊の周りを包むビニールがかさかさ。



「もう2年かぁ・・・・」

しみじみと真由は言います。

私はゆっくりと、頬の筋肉をあげながら微笑みました。



真由はヒールでコツコツと。

私はパンプスでペタペタ。



一つの大きな石の前へ向かいます。


「天羽家之墓」


私が命と変えても書けない様な達筆な字で、


そう彫られている四角い石。


「今日も、来たよ」


そういって、私はそっと石に手をのばします。


真由は黙って、花を切りそろえています。


「私、元気ですよ。優も、元気ですか?」


ただただ。小さくなった昴の入った石に語りかけます。




ピルルルルル・・・・



ピルルルルル・・・・

電話です。


はいはい・・ちょっと待ってくださいね。


ぴッ

「はい、もしもし」


真由が、じっとこちらを見ているので、なんだかもぞもぞです。


「あ、今優のところにいます」


へへへ、と不気味に笑い、真由に振り返ると、


「・・・来(させ)ないでよ」


と眉を顰めました。真由だけに。

・・・・・ごめんなさい。


「昴くん。今来ない方が・・・身の為ですね」


本気で。



昴くんは少しシュンとしてじゃあ、といって電話を切りました。



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