ずっと好きだったんだよ
「いらっしゃいませー」


さすが、土曜日。

店内はすごく混んでいた。


「何名様ですか?」

「あっ、すみません。先に友達が来ているんですが……」


店員さんにそう伝え、私はきょろきょろと綺那達を探す。


「よっ!」


すると、私の目の前に悠也が現れた。


「うわっ!?ひ、久しぶり……」


急に声をかけられたのと、その声をかけてきたのが悠也だという事で、余計に驚いた。


「そんなに驚くなよ」


悠也は笑いながら、ポンポンと私の頭を撫でる。

その瞬間、ドキッと私の鼓動が跳ね上がる。

久しぶりの悠也の笑顔、そして、悠也に触れられ、私の胸はすごくドキドキしていた。


平常心……、平常心……


そう自分に言い聞かせて、私は悠也に笑いかけ、


「ごめんって!みんなは?」

「あっち」


先に歩き出した悠也の後ろについて行った。


悠也には栞がいる。

私には櫂がいる。

もう私は悠也の事を友達としか思っていない。


悠也の後ろ姿を見ながら、私は自分の心に言い聞かせていた。


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