私を本気にさせないで
それなのに私にまめに連絡をくれて、会おうと言ってくれた彼の優しさにどうして気付くことが出来なかったのだろう。

辛い時期だったからこそ、彼は私に会おうと言ってくれたのかもしれない。
そんな彼の辛さも私は理解するべきだったはず。

なのに自分一人だけが被害者だと思い込んで、いつまでも彼のせいにして恋愛しなかったとか、本当に私ってば最低過ぎる。

大森君のように彼に伝えるべきだったんだ。

“ひとりで抱え込まないで”って。

そう言ってあげられたらよかったのに……。


「白田先輩?」

思いを巡らせている中、不意に掛けられた声にハッと我に返る。

「あっ……ごめん、ちょっと考え事しちゃっていた」

上手く誤魔化せる気がしなくて正直に話すと、大森君は安心したように微笑んだ。
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