私を本気にさせないで
そんなイブをちょうど一週間後に控えた今、にやけずにいられるはずなどない。

あの日からひたすら彼女とのデートコースを考えていた。
だって嫌でも期待してしまうだろ?

クリスマスイブという特別な日に、デートしてくれると聞いてしまったら。
それに――……。

ジッと見つめてしまっていると、案の定俺の視線に気付いた彼女とばっちり目が合ってしまった。

すると彼女は「仕事しなさい」と言いたそうに、顔を顰める。
だけどそれも一瞬で、すぐに彼女の表情は崩れてしまったんだ。

「しょうがないな、もう」と言いたそうに呆れたように笑いながら――。

そんな顔を見せられてしまったら、今が仕事中とか忘れそうになる。

このまま彼女の元に駆け寄り、可愛い彼女をこれでもかってくらい抱きしめたいくらいだ。
< 93 / 125 >

この作品をシェア

pagetop