放課後コイ綴り




「あたし、あんたたちに後輩を作ってあげられなかったのが唯一の心残りだよ」



らしくなく、声をあげもせずにただ涙を落としていく彩先輩を他の先輩たちが慰める。



元気でね、頑張ってね、また来るよ。

優しく手渡されるそんな言葉に、心が震える。

喉の奥がきゅうと狭まる。



「せん、ぱい……っ」



隣に立つ一条くんも、表情こそ変わらないものの、切ない気持ちはわたしと同じ。

わずかに唇を噛み締めている。



確かに後輩は欲しかった。

それでも、先輩たちがいなくなる方がずっと悲しい。

悲しいんだよ。



だって、「後輩を作ってあげたかった」と泣いてくれる、先輩たちのことがこんなにも大好きだから。



「ふたりできっと後輩捕まえるんだよ。
文芸部のこと、頼んだからね」



そう、涙を拭って、彩先輩は笑った。



別れを惜しみつつも、落ち着いた頃。

先輩たちは校舎の外へと、門の外へと足を踏み出して行った。







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