放課後コイ綴り




彩先輩の言う作品とは、彼女の新作の小説のこと。

それも、恥ずかしいけどモデルはわたしだという。



わたしと、一条くんの高校生活最後の1ヶ月のこと。

大学生になってから当時に起きたすべてを打ち明けていたんだけど、去年それを元に話を書きたいんだと相談されてわたしは快く承諾した。



だって相手は大好きな彩先輩だもん。

ご都合主義な描き方は決してしないと信じられるから、わたしの心の柔らかい部分でも安心して預けられる。

だから彼女になら、彼との時間を形にして欲しいと思ったんだ。



そうして改めてあの頃の話をして、少しずつ彩先輩が書き進めていた作品のタイトル。

今度新しく書店に入ってくる書籍の一覧に見かけて、すぐにわかった。



放課後コイ綴り。

────わたしと一条くんの物語だと。



「無事に発売が決まって嬉しいです。
うちの店でもしっかり推しますので任せてくださいね!」

「うん、ありがとう!」






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