僕は農民の子です
運命の歯車
「どうしてこんなことになったんだろう…」

長閑な田園風景が広がり、椋鳥の鳴き声が聞こえる中、心中穏やかでなく、生まれて初めての駕籠に揺られているのは、農民の子、清右衛門。
泥だらけの足は駕籠に乗せられる前に綺麗に拭き取ってもらい、顔の泥も落としてもらえた。「寒いから」と厚手の布を身に纏わせてもらい、丁重に駕籠に乗せられた。

「城で若君がお待ちです」

この言葉一つで、清右衛門は城に行くことになった。
そばにいた母親はなんのことか分からず取り乱し、若君の使いによって捕縛されてしまった。清右衛門は母の身を案じながら、ほぼ無理矢理駕籠に入れられた。
母とも、友人たちとも、飼い犬とも別れの挨拶を交わすことなく、清右衛門はゆっくりと運ばれていった。
< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop