無口なセンパイに恋した仔羊
…相思相愛だった事が、嬉しかった。

…いつも、感情を表に出さない進藤さんが、こんなに情熱的な人だと、初めて知った。

…誰も、こんな進藤さんは知らないんだと思うと、ちょっと優越感。

…にしても。

「…少し、離れません?」
「…その気はない」

「…お風呂にも入れてないので、ちょっと」

自分の匂いが気になったりするんだけど。

「…オレは気にしない」

真顔で言われ、苦笑いしかでなかった。

「…進藤さん」
「…琉偉」
「…え?」
「…他人行儀な言い方が気に入らない」

「…琉偉、さん」

私の言葉に、若干納得できてない様子。
…仕方がないじゃないですか。呼び捨てなんて、出来ません。

「…何?」
「…本当の琉偉さんて、ちょっと甘えん坊なんですね」

その言葉に、目を見開く進藤…琉偉さん。
< 34 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop