絶叫脱出ゲーム~奴隷部屋カラ今スグ逃ゲロ~①
きっと、あたしたちは同じレッテルを貼られていることだろう。


「あいつらと一緒に勉強しなきゃならないの?」


「そうなるかもしれないな……」


翔吾は2人から視線をそらし、深呼吸を繰り返した。


湧きおこる怒りをどうにか静めているのだろう。


「この空間に一緒にいるだけでも吐き気がしてくる」


あたしはそう言い、翔吾の胸に顔をうずめた。


教育はそれぞれに合わせて進行していくため、いつごろ施設から出られるかはわからない。


わからない期間、ずっとあの2人と毎日顔を突き合わさなければならないのかと考えると、心の奥がズッシリと重たくなった。


「俺が一緒にいる。きっと大丈夫だ」


翔吾がそう言い、あたしの背中をさする。


「でも、ここにいるのはあの2人だけなのかな?」


あたしは翔吾の胸に顔をうずめたままそう言った。


あの時のメンバーはたしか4人。


あの2人だけじゃなかったはずだ。


「わからない。もしかしたらどこかにいるのかもしれない」


そう言いながらも、翔吾はそのメンバーたちを探そうとはしなかった。


これ以上気持ちが乱れてはいけないと考えているのかもしれない。


それなら、あたしもそうしよう。


あいつらはきっと全員ここにいるだろう。


だけど探さない。


気にしない事にしよう。


あたしはそっと翔吾の足に触れた。


「早く、一緒にここから出ようね」


そう、ささやいたのだった。
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