異聞三國志
成都ー三国時代の蜀の首都である都市・・・。

とりわけ高く頑丈な門を抜けるとそこには庶民の活気があった。


市場や工場など活気づいていた。ごったがえしている街中を抜けると一際立派な建物が・・・、宮殿である。


その一角を回り込み、小さい裏門から、中に入らされた一行。


広場につき、二人は護衛の兵士から下に下ろされた。


明らかに上役と思われる人物から


「下がってよい」


と言われ、兵士は下がっていった。


二人は縄をされたまま地面に座らされた。


疲れきっていた二人はなすがままであった。肩で息をつくばかりであった。


「これじゃ、尋問もできん。とりあえず何かを食わせろ。」


一旦縄をとかれた。疲れていた彼らの前に水とスープと米のような雑穀が出てきた。


士郎は、むしゃぶりついた。空腹もあり、とにかく食べなければと思った。

しかし、理沙子は水を飲むだけ・・・。


「理沙子、大丈夫か?せめて、スープは飲め。」


理沙子には何か口に合わなそうで、食べたくはなかったが、士郎が言うので、スープは飲んだ。ほのかに暖かい、野菜のスープ。身体に染みた。彼女に少し安堵感がそう思ったのもつかの間、食べ終わるや否や、またあの官僚が出てきた。

「さて、お前達は何処から来た?魏か呉の間者か?答えよ!」


明らかにスパイか何かと勘違いしているかの如くであった。


すると、護衛の兵士の隊長が

「こやつらは、我らの言葉は解らぬ様子にございます。しかし、何故かに文字だけは書けるゆえに、耳だけ使えぬ者かと。」


「そちの言うことは間違いじゃ。なぜなら、仲間には我々の解らぬ言葉を発した。何故なのだ。」


士郎は、書く動作をして筆談をアピールした。

「筆と紙をもて。」

士郎は
思いつく漢字で、我々は日本から来たとアピールした。

「倭だと?魏の向こうにある島か?偽りを申すな。やはり魏の間者だな!」

「興奮しないのが、そちのよいところであろうに。」


奥から、悠然と一人の人物が・・・。


士郎は、その人物を見て、思わず


「ま、まさか、貴方は・・・。」


と呟いた。
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