彼女が虹を見たがる理由
夜中
野間が自殺した翌日は学校だったが、俺は寝付けずにいた。

きっと明日は朝から騒然としているだろう。

学校中が暗いモヤに包まれ、全校集会では校長が真剣な表情で重苦しい話をする。

それが目に見えていた。

俺はスマホを取り出して昨日野間にメールした内容を何度も読み返した。

そして、削除。

村田さんと野間が幸せになれば。

そんな事を考えて送ったメールに、野間は何を感じただろうか?

もし、ずっと自殺を考えていたとしたら、こんなメールをしてしまった俺の事を嫌な奴だと感じたかもしれない。

万が一、それが引き金にでもなってしまったのだとしたら……?

そう考えると眠気は遠ざかり、居てもたってもいられなくなった。

ベッドから起きだし、着替えをしてそっと外へ出た。

時刻は夜中の2時、辺りは真っ暗だ。

俺は懐中電灯を片手に歩き出した。

行先は……決まっている。
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