叶うはずのない恋愛

もしあの空に手が届くのなら

あたしは夏川と紗紀の告白現場を見たくなくてメールで先に帰る。と送った。


「結局、あたし自分勝手じゃんか…。」


そう呟きながら近くの公園のブランコに腰かけた。夕暮れ時の公園はあまり人が居なくて、空はオレンジ色に輝いていた。


「かえ…?」


あたしがブランコに乗りながら空を見ていると声をかけられた。


「結衣?」


後ろをむくとまだ制服姿の結衣と五十嵐がスーパーの袋を持っていた。2人で仲良く買い物なんかしてたのかな?あたしはそう考えながらそんな2人の姿を見ていた。


「こんな所で何してるのよッ。」


隣のブランコに腰掛けながら結衣が聞いてきた。


「逃げてきた。」


あたしはそれだけ言った。


「家から?」


いきなり五十嵐に言われた。家からって…。


「なんで家から逃げるのよ。」


あたしは五十嵐の質問に苦笑しながら答えた。
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