約束果たします代行人


「できないことを提案したりしないでしょ。美緒ちゃんのことは気に入ってるし、これからもっと好きになる予感がする」

 好きとも嫌いとも言わず、可能性だけを述べる相良さんに、すっきりしない気持ちになる。
 ここは嘘でも、その場しのぎでも、好きだよって言うんじゃないの?

「その予感、外れたらどうするんですか」

「外れるとは思ってないし。まあ、そこは美緒ちゃん次第じゃない?」

 やっぱり上から口調なんだよなあ。感じ悪い。
 はい、頑張りますと答える可愛げがあれば、いいのだろうけれど。生憎そういうものは持ち合わせていない。


「感じ悪いですね」

「ん、自分でもそれは良く思うけど。まあ俺の気持ちは今述べたとおりだし、後は美緒ちゃん次第だから。この案件は家に持ち帰って、ちょっと寝かしてきてよ。自分じゃ解決できないなと思ったら、また持ってきて」

 まるで仕事の話のように片付けると、相良さんは雑炊を勧めてきた。

「とりあえず、食おっか。だいぶ冷めたよ」

 雑炊もだけど、相良さんの恋愛観もずいぶん冷めているよなあと思いながら、いただきますをした。


「俺ね、たぶん恋愛不信ってやつ。彼女できて、大切にしてるつもりでも、私がいなくても平気そうって言われて振られること、数回。まあ実際、そうかもしんないなあって思うし。悠みたいに、私がついていなくちゃ駄目ね、放っておけないって思わせるようなスキル、俺には手に入んない。そういうの無理」


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