オタ女子奈都子
「俺は3ヶ月前から引っ越しして住んでるけど…
曽山さん、あっ違ったナツオタ!」彼は眩しいくらいの笑顔でこう言った。私はそのあだ名を聞いて暗黒の中学時代が走馬灯のように蘇ってきたのだった。
中学2年生の頃、一部の男子から今のあだ名をからかい目的で付けられた。アニメに異常なほど詳しく当時はメガネを掛けてポッチャリしていた為、山本から命名されたあだ名だったのだ。当時流行っていた漫画の不細工なおかつ変わり者キャラで人気が無い、そんなキャラと私が似ているという事で命名されたのだった。授業中、行事など様々な場面で私を「ナツオタ来んな!」とからかわれ、イヤ、イヤ撤回。苛められ中学を卒業したのだった。高校は地元からわざと離れた所を受験し嫌なアイツから離れる事が出来たのだった。高校は共学だったけど男子も苛めをする奴は居なかったしアニメ好きな友達も出来て無事高校デビューが出来たのだった。
いけない!当時の事思い出して涙が滲んでしまった。「す、す、すみません。人違いでした。朝早くにごめんなさい」ひきつった笑顔を浮かべるのが背一杯だった。早く立ち去りたくて謝ったら
「久しぶりだな~中学卒業してからだから20年近く会ってないんじゃない?今何してるの?」嬉しそうな表情を見せながら口調も穏やかで優しかった。
「え!い、今事務かな?」大嫌いだった奴に現状を聞かれた。正直に答えてしまったら後々クラス会などで格好の笑いのネタにされてしまう。電話のオペレーターだけど事務にしてしまおう。嘘は一応ついてはいない。事務処理あるし。
「そうなんだ。俺はこう見えて公務員、今窓口業務、雑務かな」お堅い職業。意外。その派手な顔立ちから怪しい夜のお仕事が似合いそう~チャラそうだしね
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