一年の恋。一年後の恋。


定時になり
私は堤川さんの入門証を持ち退社する


家に帰って久しぶりに
カブのエンジンを掛けた


メットを被り
駅前のホテルへと向かった


なんか、私……緊張してない?
なんかドキドキする
……久しぶりにカブに乗ったからか?


いやいや、あんな男に
ときめくはずかない


さっさと入門証を渡して帰ろう


ホテルに着きカブを駐車場へ停める
306号室、306号室……


ロビーを通り、エレベーターに乗る
3の方ボタンを押す

扉は開かれ……言われた306号室の前


ノックしようとするも
なかなかノックができない


やっぱり緊張している、私


深呼吸をして……いざっ、出陣!



コン、コン


…………。
あれ?反応なし?


コン、コン……


…………

コン、コン、コン……


イライライラっ……
届けるって言ったよね?
普通いるよね?


もー…いいや。
フロントに預けて帰ろう


そう思って、引き返そうとしたら
ドアが開いた


「ごめん……」


そこには髪からポタポタと垂れる雫
上半身裸でバスタオルを肩にかけ
メガネを掛けて出てきた


……何、このギャップ


「シャワー入ってて、気付くの遅れた」


シャンプーの匂いが更にドキドキさせる
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