控え目に甘く、想いは直線的
部長が出ていくとすぐに大石さんがクスクスと笑う。


「久しぶりにあんなに不器用な要さんを見たよ。ほんと、野々宮さんのことを大事にしてるよねー」


「えっ?」


返す言葉が見つからなかった。

だって、大事にされているとは到底思えない。

だからといって、ぞんざいに扱われているとも思わない。


なんだろう?

決して悪い人ではないと思う。むしろ、良い人だと思う。

仕事に対する姿勢は尊敬出来るし、見習いたい。


大事にして欲しいなんて、おこがましいことは言えないけど、見放さないで欲しいとは思う。

ずっと見守っていて欲しい。

まだ部長のことを全然分かっていないけど、いつか大石さんのように部長の全てを分かるようになりたい。

全てを分かりたいと言ったら、不審に思われるだろうけど、出来るだけ部長の役に立ちたいと思うからだ。
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