雨も好き。

翔馬side

なっちゃんがお手洗いに行ってから、不意に、りんご飴、食べてみようかな。そう思った。

屋台のほうへ行くと、人混みの向こう側に、なぜかなっちゃんがいる。

安藤瑛星と一緒に。

まただ。安藤瑛星。
いつまでなっちゃんの心の中にいるの?

苛立ちが募り、気付けば足がそちらを向いていた。

すると

なっちゃんが転びそうになる。

「─っと、セーフ。」

背後から抱きつく。

またなっちゃんを泣かせる気か、こいつは。

そう思って、とりあえずなっちゃんをこの場から退散させた。

僕はこいつに用がある。
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